第1回2020TDMセミナー

コロナ禍における生活者の意識や行動の変化からみる マーケティングや物流の展望

日時:2021年2月24日16時~17時
方式:オンラインセミナー

内容:

第1部【講演会】
小々馬敦 教授(産業能率大学 経営学部)
  ・テーマ「コロナ禍で加速する経営とマーケティングパラダイムシフト」

 はじめに、現在のコロナ禍の日本では、エッセンシャル(本質、みんなが共通して大切に思うこと)とは何かを自分なりに確信したいという意識が高まっているとのお話をいただきました。その他に、今の自分にOKと言いたい、役に立っていると実感したいといった「自己肯定感」や、他人に迷惑をかけたくない、みんなで幸せになりたいといった「利他」、「包摂」といった意識も高まっているようです。これは「消費は美徳」とされた時代が過ぎ、それに代わる「美徳」とは何か?が求められているからです。
 「欲」(足りないモノをどう提供するか)から「俗」(モノが飽和する状況での欲求の喚起)へとシフトしすぎたマーケティングそれ自体がエッセンシャルではなくなってきたというなかで、経営のパラダイムシフトが必要であり、企業は戦って生き残るのではなく、共に新しい幸せを探究するサステナブル社会に移行していくだろうとのお考えをいただきました。
 今後のキーワードとして、パーパス(存在意義)を起点とした、『徳(共感・感謝・応援)が循環する社会』を挙げ、これからのマーケッターの使命はTo Be(お客様の問題解決、こうあるべきという理想像とその手段の提供)から、行き過ぎたマーケティングのあり様を一旦ゼロにリセットし、「今の自分はOK」を起点とした上で、利他の思い、すなわち皆にとってより良いことを探求し、Betterの実現を積み重ねていくこと。そして、Well-Being(自分らしくある)を支援する選択肢やヒントを提案することへ進化していくとして講演をまとめていただきました。

※第8回ミライ・マーケティング研究会 (2月26日開催)には詳細な資料があります
https://www.kogoma-brand.com/report/10687/

【小々馬教授略歴】
大学を卒業後、大手広告代理店にて営業や経営企画などの業務に従事。その後、米国のブランディング専門会社や、戦略系コンサルタント会社などの代表取締役などを歴任。2012年より産業能率大学経営学部にて教鞭をとり、2015年より現職。
現在は、マーケティングコミュニケーションや、ブランドマネジメント、経営と事業のイノベーションのほか、公益社団法人日本マーケティング協会との共催でZ世代の生活価値観と行動研究から未来のマーケティングを思考する研究会・セミナーを主宰されるなど、実践と研究の両面で活躍。2020年には、緊急事態宣言下での大学生の意識と行動の変化についてアンケート調査を実施し、企業へのメッセージとして取りまとめている。

苦瀬博仁 教授(流通経済大学 流通情報学部)
  ・テーマ「コロナ禍を踏まえた物流TDMとレガシー」

 はじめに、コロナ以前から、「出かけて買い物」から「物を配達してもらう」ように、人から物へと交通が変わってきていたとのお話をいただきました。そして、コロナ禍で、働く場所等が自宅に変わり、人の移動が減少したために、自宅への配送が増えて物量に関わる人手不足が深刻化しているという現状についてご説明をいただきました。
 さらに、東京2020大会時を例に、集まってくる様々な物の「交通を分ける、量を削減する、時間や経路や手段を換える」などを行いながら物流をコントロールしていくことがTDMの趣旨であり、荷主である消費者も含め、皆が一緒になって交通量を減らさないといけないとのお考えをいただきました。TDMの「分ける、減らす、換える」という考え方は、コロナ禍における「3密回避」と共通しており、コロナ対応にも繋がるとのお話をいただきました。
 また、東京2020大会の競技会場周辺の交通規制については、通過交通を排除しながら、配送車などは入ることができるようになっています。昔イギリスで提案された通過交通を排除するという居住環境地域の考え方と似ていますが、現在では配送車が入ることができる環境を整えておく必要があり、これからの都市交通計画の在り方として、東京2020大会が一つの契機となるのではないか、とのお考えをいただきました。
 最後に、物流TDMからパラダイムシフトが起こり、最終的には物資供給の強靭化が、物流サービスの柔軟化を経て、防災や少子高齢化についても考えていく、つまり、これまでの「ビジネスのためのLogistics、人の交通」に加えて、そろそろ「社会のためのLogistics、人と物の交通の共存」への進化が必要なのではないか、その進化に対する我々の心構えが東京2020大会やコロナ禍で問われているのではないか、と締めくくっていただきました。

【苦瀬教授略歴】
大学院を修了後、総合建設会社に研究員として従事。その後、東京商船大学(現、東京海洋大学)で教鞭をとり、副学長などを歴任し、2014年には現職。物流分野を始めとして、国や自治体の将来計画に係わる各種委員会の委員や座長を数多く務める。
現在は、ご専門のロジスティクスや都市計画の分野で、在庫や輸送についての管理論と、インフラを考慮した物流施設の配置計画の方法論などを研究。
著書には、「サプライチェーン・マネジメント概論」、「物流と都市地域計画」など複数の専門書に加え、一般の方向けにも「ロジスティクスの歴史物語」「みんなの知らないロジスティクス」を執筆。

第2部【座談会】
  • ・テーマ「コロナ禍における生活者の意識や行動の変化からみるマーケティングや物流の展望」
  • ・登壇者(五十音順)
       苦瀬博仁 教授(流通経済大学 流通情報学部)
       小々馬敦 教授(産業能率大学 経営学部)
  • ・ファシリテーター
       松本祐一(東京都オリンピック・パラリンピック準備局 輸送担当部長)
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